国内のとある企業が開発中の太陽電池です。シリコン半導体の一種である現行の太陽電池と異なります。色素増感型で、チタンを使います。

色素増感型太陽電池の原理

発電原理は、以下の通りです。
1)負極の色素(増感色素)に光が当たると光励起し、色素が酸化される
2)色素は電解液中のヨウ素から電子を奪う(還元)
3)ヨウ素は正極から電子を奪う(発電)
1991年には、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のマイケル・グレッツェル教授が、二酸化チタン微粒子の表面に色素を吸着することで飛躍的に起電力が増加することを見いだしたことから、このタイプのセルに「グレッツェルセル」という名前もついています。

積層して箱の中にいれても発電

シリコンタイプの太陽電池パネルとの相違点をまとめます。

  • 製造コストが安価
    製造にクリーンルームを必要としない
  • 発電時間が長い
    通常の太陽電池は真上から太陽光が降り注ぐときにしか発電しないが、色素増感型太陽電池は夜明けから微弱な光でも発電する
  • 箱にいれて発電できる
    ガラス面に色素を塗布するので、箱にいれて発電できる
  • しかし、発電効率は悪い
    これが問題で、普及していないが、やっとこの面でも改善されてきている

注目したいのは、箱にいれた形態で実用化できることです。冒頭の写真で上に見える白い板が、色素を塗ったガラス(発電体)で、これをスリットのように箱につめたものが下のボックス。これで発電ユニットとなります。

色素増感型太陽電池は、箱にいれても発電可能

この方式に期待したいのは、屋外への太陽電池パネルの設置が、景観の破壊・災害時の被害の拡大・生態系の破壊などの問題を抱えているからです。ホコリや泥で表面が汚れると、発電効率が落ちるという問題もあります。箱にいれるこの方式なら、清掃する面積もぐっと小さくなります。

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太陽光発電で発火、10年で127件 住宅に延焼も7件(2019年1月28日付朝日新聞)