ついに駅などに当たり前のように設置されるようになったサイネージシステム。当社も2009年ころに、特徴あるサイネージシステムを開発しました。

Scalable Vector Graphicsの活用

SVGはいまだあまり普及していない形式ですが、一言で説明すると、「XMLベースの、2次元ベクターイメージ用の画像形式」であり、W3Cがオープン標準としているものです。

これまたほとんど知られていませんが、2009年頃に発売されていたシャープの液晶テレビ・AQUOSのうち、ネット接続機能をもつ機種には、標準でSVGに対応するブラウザが搭載されていたのです。

この二つを組み合わせると、大画面でも高精細で、とても美しい静止画を表示することができました。元画像はJPEGでオーケー。当社は、2009年、SVGオーサリングシステムとSVGコンテンツ配信システムを開発し、AQUOSを端末にしたデジタルサイネージシステムを実用化したのです。

この写真は東北自動車道・矢板北PAに設置したSVGサイネージシステムです。このほか、サイゼリヤの一部店舗などにも採用されました。

FacebookやTwitterに写真つきで投稿されたものを自動でSVG化し、配信した。
もちろん独自コンテンツの制作も容易。基本は紙芝居で、JPEGで制作可能。
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他のサイネージに比べての特長

その後、TwitterとFacebookが普及したことを考慮して、SVG配信システムにSNS連携機能も追加。すなわち、ツイートするだけで、大画面にサイネージとして自動表示する仕組みにしました。この方式の、他のサイネージシステムと比較しての長所は以下の通りです。

  • サーバ配信式なので、コンテンツ開発も一カ所で可能
  • 番組表のように、エリアごとに一部コンテンツを差し替えることも可能
  • SNS連携でコンテンツ更新が容易
  • 端末がテレビであり、乗っ取りや踏み台の被害の可能性も小さい

最後の点はとくに重要で、Windows 7のようなレガシーなOSで動作するサイネージシステムがエラーで止まっているのをよく見かけます。動画をさしこんだりする手軽さではPC方式に譲りますが、安全性・メンテナンス性では、当社のSVG配信式のほうが有利です。

相馬市・南相馬市にも寄付(3.11)

このシステムは、3.11で大きな被害を受け、多くの市民が避難所生活を送っていた相馬市・南相馬市にも寄付しました。SNS連携機能を活用し、首相官邸などがツイートする重要な情報を、美しく大画面テレビに表示する仕組みです(ツイートを映すことから「ついテレビ」と命名)。

どこにいけば入浴できるとか、スマホの充電我できるといった生活密着の、現地限定の情報は、手にいれるのに苦労するもの。ラジオをずっと聞いてメモをするのも大変だし、被災地では情報格差が一挙にひろがるものです。SNS連携機能でテレビにSNSの情報を大きく映し出す当社のシステムは、災害時の避難所に有用なものと考えています。

南相馬市に設置した「ついテレビ」。放射線情報等のツイートを大画面に自動表示

SVGサーバ配信型デジタルサイネージシステムは、いまでもPC方式に比べて有利な点はそのままですし、ニーズにあわせてカスタマイズ開発をし、納品することが可能です。

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